死後事務委任契約でよくあるトラブルと未然に防ぐための対処法を解説
2025/10/10
最近ではおひとりさまや身寄りが少ない方の中には、ご自分が亡くなった後に人に迷惑をかけたくないと「死後事務委任契約」に注目している人もいらっしゃるのではないでしょうか。
死後事務委任契約は自分に万が一のことがあった時に、葬儀や埋葬の方法、住まいの整理、役所への届出など、死後に発生する事務手続きを生きている間に信頼できる人や業者に委任しておける制度です。
しかし、契約の内容が明確でなかったり、委任者と家族で認識の相違があったりすると生前や死後にトラブルが起きることも少なくありません。
本記事では、死後事務委任契約で起こりうるトラブルとして実際の事例も紹介しながら、トラブルを回避するためのポイントや対処法を丁寧に解説します。
死後事務委任契約とは?
「死後事務委任契約」とは、生前に信頼できる第三者(受任者)と死後の事務手続きなどを委任する契約を結び、亡くなった後に実行してもらう制度です。
死後事務委任契約を利用すれば、遺言書だけではカバーしきれない死後の手続きや大切な家具・ペットなどの処分を信頼できる人に委任でき、自分の意思を反映させられるのが大きなメリットです。
死後事務委任契約でできる主な委任内容には、以下のものが挙げられます。
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遺言書と死後事務委任契約は何が違う?
遺言書と死後事務委任契約は、できることや法的効力の有無が異なります。
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まず、遺言書は財産に関することに法的効力を持ち、遺言者の意思が最優先されますが、死後の事務手続きや葬式に関する要望などを記載しても何の効力もありません。
また、死後事務委任契約は死後事務手続きを委任できますが、財産や不動産の相続などについて記載しても法的効力を持たないため、意向が通る可能性は少ないと言えます。
遺言書と死後事務委任契約の両方を作成しておけば財産や不動産の相続と死後事務のどちらも希望を通せるので、併用するのがおすすめです。
死後事務委任契約を結ぶ方法
死後事務委任契約は、委任者(手続きを依頼する人)と受任者(死後に手続きを代行する人)で結びます。
死後事務委任契約を締結するまでの流れをまとめたので、ご覧ください。
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死後事務委任契約は、公的書類にする義務はありませんが、のちのちのトラブルを避ける意味で公正証書化することをおすすめします。
死後事務委任契約書を公正証書にしておけば法的効力を持ち、原本も公証役場で保管してもらえるので信ぴょう性が増します。
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死後事務委任契約に関するよくあるトラブル事例

死後事務委任契約を結ぶまではよく考えて信頼できる人に依頼をしたはずなのに、実際にはさまざまなトラブルが発生することがあります。
- 事例① 委任内容や契約書の不備によるトラブル
- 事例② 委任した会社の倒産や事業撤退によるトラブル
- 事例③ 受任者との関係悪化や音信不通によるトラブル
- 事例④ 遺族が死後事務委任契約の存在や内容を把握していない場合のトラブル
- 事例⑤ 死後事務委任契約の解約や預託金に関するトラブル
死後事務委任契約で起こりうるトラブルについて、具体的な事例とその対策も併せて解説します。
事例① 委任内容や契約書の不備によるトラブル
死後事務委任契約書に委任したい内容が詳しく記載されていないために、受任者が内容を理解できず意向とは違う方法で葬儀や埋葬を行ったり、遺品を処分してしまったりするケースがあります。
例えば、葬儀に関しては「〇〇宗派での葬儀を希望」など具体的に希望を明記しておきましょう。
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事例②委任した会社の倒産や事業撤退によるトラブル
受任者は士業の専門家や業者に依頼ができますが、会社が倒産したり事業撤退したりしたことが原因で死後事務委任契約が執行されない場合があります。
専門業者などに依頼する場合は、万が一倒産した時にどのような措置が受けられるのか事前に確認しておきましょう。
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事例③ 受任者との関係悪化や音信不通によるトラブル
死後事務委任契約は実際に委任者が亡くなって契約の執行が必要となったタイミングまで長い期間が空く可能性があります。
専門家や業者ではなく、信頼できる知人に委任する場合、委任者と受任者の関係性が途中で変化したり、疎遠になったりして死後に契約が執行されなかったケースもあります。
死後事務委任契約を個人同士で結んだ場合は、定期的に確認の連絡を入れたり、間に専門家や業者を入れたりと必要になった時に困らないよう対策しましょう。
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事例④ 遺族が死後事務委任契約の存在や内容を把握していない場合のトラブル
死後事務委任契約では葬儀や埋葬の方法、家財道具の処分など幅広い範囲での手続きが受任者に任せられています。
ただし、遺族からすると他人が家族の死後の大切な取り決めを執行することに違和感や拒絶を表す場合もあります。
例えば、委任者の遺志通りに受任者が海洋散骨をした場合、家族が代々の墓に入れてほしかったと訴えを起こすケースもあります。
委任者に家族や法的相続人がいる場合、死後事務委任契約の内容を決める上である程度意向を反映しておくとトラブルに発展しにくいでしょう。
また、家族や相続人に死後事務委任契約や受任者の存在を生前にしっかり伝えておくことも大切です。
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事例⑤死後事務委任契約の解約や預託金に関するトラブル
現代の日本では生涯未婚の方も増えており、死後事務委任契約の必要性や注目度も高まっているため、委任業務を取り扱う会社なども増えてきました。
その一方で解約や預託金にまつわるトラブルも年々増加しており、独立行政法人「国民生活センター」が公表しているデータによると、高齢者の身元保証や死後事務手続きを行うサポートサービスに関して、解約時のトラブルを含む相談が毎年100件前後寄せられています。
死後事務委任契約を依頼する会社を選ぶ際は、契約内容をしっかりと確認し、解約時に預託金の返還が確実に行われるのか、違約金などは発生するのかも調べておきましょう。
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トラブルを未然に防ぐ!死後事務委任契約前のチェックポイント

死後事務委任契約に関するトラブルを未然に防ぐために、契約締結時には以下のポイントをチェックしてみてください。
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ご自身の意思を死後にも確実に引き継いでもらえるよう、できる限りの対策やトラブル回避は行っておくのがおすすめです。
死後事務委任契約書の内容は明確にする
死後事務委任契約を執行する時は、当然委任する方が亡くなった後なので不明な点があっても受任者は確認ができません。
死後事務委任の内容は以下のとおり、詳細まで確実に記載しておくことが重要です。
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受任者が迷ったり個人的な判断を求められたりすることのないよう、詳しく丁寧に記載するよう心がけましょう。
公正証書化して法的効力を持たせる
死後事務委任契約書は公正証書にしておくと、法的効力を持つのでより安心感が増します。
また、公正証書化した契約書は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。
死後事務委任契約を公正証書にする費用は、公証役場に支払う手数料として11,000円ほどです。
死後事務委任契約にかかる費用については、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
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家族に死後事務委任契約や委任者の存在を伝えておく
死後事務委任契約にまつわるトラブル事例でも紹介したとおり、家族が死後事務委任契約の存在を知らされていない場合は、意見の相違が起きたり執行の妨げになったりする可能性があります。
可能であれば生前に家族に向けてしっかりと説明を行っておくことをおすすめします。
必要であれば士業の専門家などに依頼をして、第三者として立ち会ってもらうとよいでしょう。
遺言書や任意後見制度なども併用する
死後事務委任契約は単体でもご自身の意思を伝えるのに有効ですが、遺言書と連携することでより確実に希望に沿った相続や不動産の処分などが行えます。
また、死後事務委任契約はあくまで亡くなった後の事務手続きを依頼できる制度なので、今後認知症などで判断能力が低下した際の手続き代行や財産の管理などは委任できません。
判断能力が低下した時に生活の支援や口座の管理などを任せられる任意後見制度も併用すれば、生涯を自分らしく過ごせるために役立つでしょう。
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解約や預託金の取り決めについて確認しておく
死後事務委任に関するサービスを依頼できる専門家や業者に頼む場合は、解約の条件や預託金の有無、預託金の使途や返金の条件などを必ず確認しておきましょう。
死後事務委任契約でのトラブルを避けるために専門家に相談するのもおすすめです

死後事務委任契約に関するトラブルを回避するためには、契約内容や委任内容を明確に記載することや信頼できる受任者・業者の選定、家族や関係者への説明などが必要不可欠です。
死後事務委任契約について思わぬトラブルが起きないよう、契約書の作成や受任者の依頼などは専門家の助けを借りるのもおすすめです。
キャストグローバルでは死後事務委任契約に関するご相談を無料で承っているので、お気軽にお問い合わせください。

岡野 慎平
司法書士法人キャストグローバル 広島事務所 代表
株式会社キャストグローバル 代表取締役
司法書士法人キャストグローバル 中四国九州エリア統括
司法書士法人キャストグローバル広島事務所の代表を務め、株式会社キャストグローバル 代表取締役・司法書士法人キャストグローバル 中四国九州エリア統括として、グループ内の知見とネットワークを活かした支援体制の整備とサービス品質の向上に取り組む。司法書士としては相続を中心とした法的手続きを扱い、これまでに相続に関する相談・手続き支援を累計1,000件対応してきた。

北村 寿恵
相続コンサルタント
相続コンサルタントとして司法書士法人キャストグローバルと連携し、相続に関するコンサルティング業務を担当。終活セミナーをはじめとした企画・講師経験を活かし、専門的な内容をわかりやすく整理しながら、相談者の不安を「安心」に変える支援を信条としている。また、三原市福祉協議会の講演の講師も担当。これまでに相続・終活に関する個別相談を累計2,000件対応しており、司法書士と連携しながら、手続き完了まで誠実にサポートを行っている。
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