任意後見制度で「できること・できないこと」は?他制度の違いも解説
2026/01/13
高齢化社会が進む中、「将来認知症になったらどうしよう」「判断能力が低下した状態で自分の財産や生活を守れるのだろうか」という不安を抱える人が増えています。
「任意後見制度」は判断能力が低下した時に備えて、本人が元気なうちにあらかじめ信頼できる人(任意後見人)に財産管理や生活支援をあらかじめ依頼しておける制度です。
ただし、任意後見制度には「できること」と「できないこと」があり、希望をすべて実現するためには任意後見制度だけではカバーできない可能性もあります。
本記事では、任意後見制度でできることとできないこと、他制度との併用がおすすめなパターンについて詳しく解説します。
任意後見制度とは?
そもそも任意後見制度は、将来的に自身の判断能力が低下したときに備え、家族や士業の専門家など信頼できる人に財産管理や生活支援に関する契約を結んでおく制度です。
本人の意思に沿って契約を結べるので、認知能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を決める「法定後見制度」より柔軟な支援が受けられます。
しかし、任意後見制度には「できること」と「できないこと」が明確に決められており、すべての希望を叶えるには限界があります。
任意後見契約を結ぶ前に、できることとできないことを把握しておくことをおすすめします。
|
|
任意後見制度で「できること」「できないこと」を一覧表でチェック

まずは任意後見制度を利用して「できること」と「できないこと」を一覧表で確認してみましょう。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
ただし、上記の「できること」含まれている項目でも、任意後見契約書に記載されていないことは原則できません。
任意後見制度を利用するうえで、任意後見契約書を結ぶ際は何をしてほしいのかよく考える必要があります。
任意後見制度で「できること」は主に4つ

任意後見制度を利用すると、例えば口座預金や不動産といった財産の管理や介護施設・病院などの契約を任意後見人に依頼できます。
また、生命保険や行政サービス、年金などの手続きも代わりに行ってもらえるため、生活していくうえで必要な実務には困らないでしょう。
任意後見制度でできることを、それぞれ解説します。
財産の管理
多くの方にとって、自分が認知症等になった場合に口座預金が凍結されて生活費や医療費が払えなくなったり、財産を適切に管理できなくなったりすることがないか不安を感じるケースも多いでしょう。
任意後見制度を利用する大きなメリットとして、任意後見人に預貯金や不動産などの財産を代わりに管理してもらえて、生活や医療・介護に必要な費用も支払ってもらえます。
例えば、賃貸物件を管理している場合に任意後見制度で任意後見人と契約を結んでおけば、新たな賃貸契約の締結や家賃の徴収などを行えます。
契約手続きの代行
認知能力が低下してしまうと、利用しているサービスの更新や解約などの手続きが難しくなる場合があります。
任意後見制度で契約手続きの代行を依頼しておけば、状況に応じて必要な契約や手続きを行ってもらえるでしょう。
日常生活を続けるための支援
本人がこれまで通り日常生活を安心して過ごせるよう、生活費の管理や介助サービスを利用するためのサポートも依頼できます。
任意後見人は実際に介護や家事はできないので、介護士やヘルパーへの依頼、家事代行業者の選定・契約などの支援や補助を行います。
医療や介護サービスに対する補助
任意後見人は病院へ入院や通院が必要になったり、介護施設へ入所したりする場合にも、本人に代わって契約が可能です。
ただし、施設への入所などの際の身元保証人として任意後見人を指名することはできません。
また、手術や延命措置など医療行為に対する法的同意もできません。
任意後見制度で「できないこと」と対処法

任意後見制度は任意後見人が本人からの依頼で主に財産の管理や契約の代行などを行えますが、できないこともあります。
例えば、本人が勝手に契約してきたサービスや購入してきたもののキャンセルは任意後見人に行えません。
また、手術や延命措置など医療行為に対する法的な同意や離婚・養子縁組など身分に関わる手続きも任意後見人には権利がないので注意が必要です。
任意後見制度でできないことは他の制度と併用することでカバーできる場合もあるので、対処法とあわせて詳しく紹介します。
契約に対する取り消し
任意後見人には、本人が結んできた契約に対してキャンセルしたりクーリングオフを申請する権限はありません。
本人が判断能力が低下した状態で不利な条件の契約や不要な商品を購入をしても任意後見人が取り消すことはできないので、注意が必要です。
ただし、契約時に著しく意思能力が低下していたと証明できれば取り消しができます。
また、法定後見人であれば契約の取り消し権を持つので、法定後見制度への切り替えもあわせて検討してみてください。
介護などの事実行為
直接本人の身体に関わる介護や看病、家事など身の回りの世話は、任意後見人の業務には含まれていません。
本人の介護や自宅の掃除、食事の世話などは適切な事業者を選び、サービス利用の契約を結ぶまでが任意後見人ができることです。
ただし、家族や身内が任意後見人になることもあるので、その場合は介護や身の回りの世話も行っているケースがあります。
医療行為に対する法的な同意
手術や延命治療の実施など医療行為の法的な同意は、任意後見人は本人や家族に代わって行うことはできません。
ただし、任意後見契約書などの書面に自分が病気や危篤になった際の意思や希望を明記して、任意後見人に伝えておくことで希望に沿った医療を受けられる場合があります。
遺言書や死後事務にまつわること
遺言の内容や遺言書の作成については原則として本人のみが行えるため、任意後見人は代行ができません。
また、本人が亡くなった後に発生する死後事務や相続の手続きも任意後見人に行う権利はありません。
任意後見人に遺言書の内容に沿った相続の手続きを行ってもらいたい場合は、あわせて遺言執行者としても指名しておく必要があります。
葬儀の手配や役所への届出といった死後事務を行ってほしい場合は、死後事務委任契約を結んでおきましょう。
|
|
身分に関する手続き
婚姻や離婚、認知や養子縁組など、身分に関する法的手続きは本人のみが行えます。
本人に代行をお願いされたとしても、任意後見人には行えません。
投資や株の売買などリスクを伴う財産運用
任意後見人は、本人の財産を管理し、不利益を被らないように資産を守る義務があります。
そのため、本人の財産を使って投資や株の売買をするなど、リスクがある財産運用は原則として行えません。
その他任意後見契約書に記載されていないこと
任意後見人にできる範囲のことでも、任意後見契約書にあらかじめ明記されていない業務は行えません
代理権目録に記載されていないことは任意後見人でもできない場合があるので、契約書の内容は記載漏れや不備がないよう記載することが大切です。
任意後見制度は「できること」「できないこと」を理解した上で活用しましょう

任意後見制度は、万が一の時に備えてご本人の意思を最大限に尊重するために有効な方法です。
ただし、「できること」と「できないこと」が明確に分かれているので、任意後見制度でカバーできる範囲をしっかりと理解し、できないことは他の制度と組み合わせるなどの対策が必要です。
また、任意後見人ができることは任意後見契約書に記載された範囲に限定されるため、契約を結ぶ際には専門家に相談したり契約書の作成を依頼したりすることも視野に入れながら、準備を進めるのがおすすめです。
キャストグローバルでは任意後見制度に関する無料相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

岡野 慎平
司法書士法人キャストグローバル 広島事務所 代表
株式会社キャストグローバル 代表取締役
司法書士法人キャストグローバル 中四国九州エリア統括
司法書士法人キャストグローバル広島事務所の代表を務め、株式会社キャストグローバル 代表取締役・司法書士法人キャストグローバル 中四国九州エリア統括として、グループ内の知見とネットワークを活かした支援体制の整備とサービス品質の向上に取り組む。司法書士としては相続を中心とした法的手続きを扱い、これまでに相続に関する相談・手続き支援を累計1,000件対応してきた。

北村 寿恵
相続コンサルタント
相続コンサルタントとして司法書士法人キャストグローバルと連携し、相続に関するコンサルティング業務を担当。終活セミナーをはじめとした企画・講師経験を活かし、専門的な内容をわかりやすく整理しながら、相談者の不安を「安心」に変える支援を信条としている。また、三原市福祉協議会の講演の講師も担当。これまでに相続・終活に関する個別相談を累計2,000件対応しており、司法書士と連携しながら、手続き完了まで誠実にサポートを行っている。
----------------------------------------------------------------------
司法書士法人キャストグローバル(広島事務所)
広島県広島市中区紙屋町1丁目3-2
銀泉広島ビル5階
電話番号 : 082-246-0630
FAX番号 : 082-246-0640
広島で随時無料相談を実施中
----------------------------------------------------------------------


