死後事務委任契約とは?メリットや注意点、契約を結ぶ手順を解説
2025/02/10
おひとりさまや頼れる家族がいないなどの理由で、ご自身が亡くなった後の手続きや身の回りのものの処分に不安を感じる方が増えています。
「死後事務委任契約」は死後の手続きのほか、自分の葬儀に関する希望やSNSのアカウントの管理、大切にしているものの処分方法などを第三者に委任できる公的な契約です。
本記事では、死後事務委任契約のメリットやデメリットを解説し、どのような方におすすめなのか、誰とどのように契約を結べばいいのか詳しく説明します。
ご自分が亡くなった後に迷惑をかけることは避けたいとお悩みの方は、ぜひ目を通してみてください。
死後事務委任契約とは?
死後事務委任契約とは、「生前に自らの死後の手続きを第三者に依頼しておくこと」を意味します。
例えば、遺産に関する手続きや財産をどう分けるかなどの希望は遺言書にして、亡くなった後も遺志が引き継がれます。
しかし、財産以外のことは遺言に書いても法的に効力を持たないため、大切にしているペットの世話やパソコン、スマホのデータの処理などは死後事務委任契約書を通して、どなたかに実行してもらうよう委任が可能です。
死後事務委任契約でできることとできないことを表でまとめたのでご覧ください。
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つまり、死後事務委任契約は財産や相続に関する以外を依頼する契約と言えます。
死後事務委任契約の利用がおすすめな人
死後事務委任契約は正式な手順を踏むことで公的に認められる契約となりますが、手間や費用がかかります。
すべての方が死後事務委任契約を結ぶ必要はなく、主に以下に当てはまる方におすすめの制度です。
- 死後の手続きを誰にも依頼できない人
- 家族などに迷惑をかけたくない人
- 特定の人に手続きを一任したい人
死後の手続きを誰にも依頼できない人
死後事務委任契約を検討している方にとって、もっとも不安を感じることは「自分が死んだ時に必要な手続きを頼める人がおらず、誰かに迷惑をかけるかもしれない」点ではないでしょうか。
おひとりさまや家族がすでに亡くなっているなど身寄りがない方は、あらかじめ死後事務委任契約を第三者と結んでおくと安心です。
家族などに迷惑をかけたくない人
家族や親せきがいても、絶縁状態の場合や年老いた親しかおらず世話になるのは避けたい方にも死後事務委任契約がおすすめです。
死後の手続きは多岐に渡り、膨大な手間や時間がかかるため、関係性や相手の状況を考えると自分で死後事務委任契約を第三者と結んでおき、万が一の際に迷惑をかけないようにしたい場合に有効です。
特定の人に手続きを一任したい人
血縁関係や婚姻関係がなくても信頼できる人に亡くなった後の手続きや遺品整理を任せたい場合も、死後事務委任契約を結べば広い範囲で事務手続きなどが可能です。
内縁の妻や夫、事実婚の相手でも行政などでは他人と判断され、手続きが行えない可能性がありますが、死後事務委任契約で受任者と指定しておけば希望通りに進められます。
また、葬儀の方法など自分の遺志を家族には反映してもらえないと判断した場合も、理解者である人に委任できます。
死後事務委任契約のメリット
死後事務委任契約のメリットは主に、以下のとおりです。
- 基本的に誰に頼んでも良い
- 遺体の引き取りから葬儀の方法までトータルで依頼できる
- 死亡届など行政の手続きを一任できる
- 請求料金の清算を依頼できる
- 住居や家具の管理や処分などを依頼できる
- 携帯電話などサービスの解約を依頼できる
- 亡くなった後もペットが安全に暮らせる
死後事務委任契約は友だちや親戚など、法定相続人にあたる近しい家族以外にも頼めるのがポイントです。
また、司法書士や弁護士などまったく関係のない第三者に依頼も可能なので身寄りがなく死後の手続きに不安を感じる方も安心です。
死後事務委任契約を利用すれば行政への各種届出や請求料金の清算、物件の退居などの手続きを依頼できるほか、遺品やSNS、パソコンのデータの処分なども細かく指定できます。
ご自身が亡くなった後に大切なペットが安心して暮らせるよう世話をしてもらったり、新しい飼い主に引き継いでもらったりなどの依頼も可能です。
死後事務委任契約の注意点
死後事務委任契約を利用する際には、以下の点に注意しましょう。
- 相続やお金に関する手続きは依頼できない
- 亡くなる前の手続きや世話は依頼できない
- 認知症など意思能力が低下した状態での契約は認められない
- 死後事務委任契約を利用するための費用がかかる
遺産相続や財産の分配に関する手続きは遺言書が効力を持つため、死後事務委任契約に記載しても認められません。
また、死後事務委任契約は委任した人が亡くなった時点から効力を持つため、生前の手続きなどに対して権限を持ちません。
さらに、死後事務委任契約を結ぶ時点で判断力や認知力が低下している場合は、契約が認められない可能性があります。
死後事務委任契約を結ぶ際は、委任を受ける人への報酬や必要経費などを事前に用意しておいたり、亡くなった後に支払われる生命保険を充てたりと、費用の確保も考えておかなければいけません。
死後事務委任契約を結ぶ流れ
死後事務委任契約を結ぶには、主に以下の手順を踏みます。
- 何をどのように委任するか決める
- 委任する人と費用を取り決める
- 死後事務委任契約書を結ぶ
- 公証役場で公正証書にする
死後事務委任契約の流れをひとつひとつ紹介します。
1.何をどのように委任するか決める
死後事務委任契約を結ぶ前に、死後に必要な手続きや依頼したい内容を考えてみましょう。
まずは亡くなった際に必ず行わなければならないことを調べながら、紙などに書き出していくのがおすすめです。
例えば、遺体の引き取りや埋葬、行政への死亡届提出などの手続きや契約しているサービスの解約などは不可欠です。
必ず行ってほしい内容がまとまったら、ご自分の希望を必要に応じて添えていきます。
例えば、葬儀の方法について葬式は行わず直接火葬してほしい、SNSのアカウントに亡くなったことを投稿してほしいなどを、死後事務委任契約ではお願いできます。
2.委任を受ける人と費用を取り決める
死後事務委任契約の内容が決まったら、ご自分の死後に実行してくれる人に委任します。
死後事務委任契約の委任を受ける人は、仲の良い友人など血縁関係とは関係のない近しい人や職業として執行を請け負う司法書士、弁護士、専門業者などでも構いません。
ただし、委任を受ける人との関係性や依頼する職業・業者によって契約に対する報酬が異なる場合があります。
また、死後事務委任契約の内容によっては必要経費や手数料などが発生するため、報酬とは別に計算して見積もりを出し、委任を受ける人に交渉しましょう。
委任する人と受ける人双方が内容や金額に対して納得に至れば、契約書の作成に移ります。
3.死後事務委任契約書を結ぶ
委任を受ける人と取り決めた依頼したい実務を、死後事務委任契約書に詳しく記載します。
司法書士などの専門家に委任する場合には必ず作成されますが、友人や親せきなどに頼む場合もしっかりと契約書を結ぶのがおすすめです。
4.公証役場で公正証書にする
死後事務委任契約書を作成したら、公正役場へ原本を持ち込み、公証人に公正証書として認めてもらいましょう。
死後事務委任契約書の作成や公正証書化は必須ではありませんが、手順を踏んでおけば亡くなった方の意思として法的に認められたり遺族とのトラブルを避けられたりするためおすすめです。
また、契約していた物件やサービスの解約など本来他人が行えない手続きも、公的な死後事務委任契約書があればスムーズになります。
公正役場で死後事務委任契約書を公正証書にする手数料として、11,000円が必要です。
死後事務委任契約は不安の解決に役立ちます
死後事務委任契約は財産や相続に関する以外の希望や手続きを、指定した人に委任できる契約を意味します。
主に死後の手続きを誰にも依頼できない人や家族に迷惑をかけたくない人、内縁のパートナーに手続きを任せたい人などにおすすめです。
もし、身近に委任できる人がいない場合は司法書士などの専門家に依頼ができます。
キャストグローバルでは死後事務委任契約のご依頼も受け付けていますので、まずはお気軽に無料相談からお問い合わせください。
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