遺産相続の割合はどう決める?法定相続分や遺留分、債務があるパターンを解説
2024/11/05
遺産相続が発生した際、誰がどれくらい財産を引き継ぐかは重要な問題です。
遺産を相続する割合を決める場合、基本的に以下の順番で権利が尊重されます。
- 遺言書に書かれた割合が最優先
- 遺言がなければ遺産分割協議で話し合う
- 法定相続分の割合で決める
まずは遺言書や遺産分割協議で決めた内容が優先されますが、遺言書がなかったり話し合いで決められなかったりした場合は「法定相続分の割合」で分けることが多いです。
また、遺言書があっても法定相続人が最低限受け取れる「遺留分」や債務を引き継ぐ場合の割合もあるため、パターン別に分かりやすく解説します。
遺産相続の割合を決定する方法は主に3つ
遺産相続の割合を決定する方法は、主に以下の3つです。
1.遺言書に書かれた割合が最優先
2.遺言がなければ遺産分割協議で話し合う
3.法定相続分の割合で決める
それぞれの方法を詳しく解説します。
1.遺言書に書かれた割合が最優先
遺言書がある場合は、亡くなった方が生前に決めた割合で遺産が配分されます。
遺言書で重要なポイントは、法定相続人よりも遺言書で指名された相続人が優先される点です。
ただし、法定相続人には最低限受け取れる遺産相続の割合として「遺留分」があります。
もし遺言書に財産の100%を法定相続人以外に相続させると書いてあったとしても、法定相続人が納得できない場合は「遺留分侵害額請求」を行うことで遺留分を確保できます。
遺留分の割合については、のちほど説明します。
2.遺言がなければ遺産分割協議で話し合う
遺言が残されていなかった場合は、法定相続人全員で相続する割合などを話し合う「遺産分割協議」で決めます。
遺産分割協議で全員が納得すれば、最終的に「遺産分割協議書」に記載した割合が法定相続分の割合より優先されます。
3.法定相続分の割合で決める
もし遺言書がなく、遺産分割協議でも割合が決められなかった場合は、法定相続分の割合を目安に決めます。
また、遺産分割協議の内容に納得がいかない場合など、家庭裁判所に法定相続人が申し立てると、基本的に法定相続分の割合で分けるよう判決を出すのが一般的です。
法定相続分の割合と主なパターン
法定相続分の割合は、亡くなった方との間柄や相続人の数によって、民法に以下の通り定められています。
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※1:相続人が亡くなっている場合はその子や孫に代襲相続される
※2:相続人が亡くなっている場合に代襲相続されるのは、その子ども(甥・姪)まで
亡くなった方に配偶者がいる場合は、配偶者+次に順位が高い人が法定相続人です。
また、亡くなった方が未婚だったり子どもがいなかったりした場合は、もっとも順位が高い人で財産を分割します。
ただし、遺言書の有無や遺産分割協議での決定によっては、法定相続人や相続分の割合を守る必要がありません。
あくまで、法定相続人と法定相続分の割合は、遺言書がない場合や遺産分割協議で話し合う上での目安と考えると良いでしょう。
例として1,000万円の遺産を相続し、法定相続人で法定相続分の割合を適用する場合、いくつかのパターンごとに受け取れる額を解説します。
パターン1.配偶者と子どもで遺産を相続する割合
1,000万円の遺産を配偶者と子ども2人で法定相続分に沿って分配すると、以下の通りです。
配偶者には全体の1/2、子どもも全体の1/2が受け取れますが、子どもが2人以上いる場合は人数で割って均等に分配します。
ちなみに、配偶者と子どもがいる場合は、直系尊属(父母や祖父母など)や兄弟姉妹は原則として法定相続人にはなりません。
パターン2.配偶者と直系尊属で遺産を相続する割合
子どもがいない夫婦のうちどちらかが亡くなった場合、1,000万円の遺産を配偶者と直系尊属(父母や祖父母など)で法定相続分に沿って分配すると、以下の額になります。
配偶者には全体の2/3が分配され、直系尊属(父母や祖父母など)は残りの1/3を人数で割って相続します。
ちなみに、配偶者と直系尊属(父母や祖父母など)が相続する場合は、兄弟姉妹は原則として法定相続人にはなりません。
また、前の配偶者との間に子どもがいて認知されている場合は、配偶者と子どもで遺産を相続するパターンとなります。
パターン3.配偶者と兄弟姉妹で遺産を相続する割合
子どもも両親もいない既婚者が亡くなった場合、1,000万円の遺産を配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹で法定相続分の割合に沿って分けます。
配偶者には全体の3/4が分配され、兄弟姉妹は残りの1/4を人数によって均等に受け取ります。
パターン4.未婚で子どももいない場合の割合
結婚しておらず子どももいない方が亡くなった場合は、1,000万円の遺産を直系尊属(父母や祖父母など)が全額受け取ります。
また、直系尊属(父母や祖父母など)が亡くなっている場合は、兄弟姉妹が全額を受け取り、人数によって均等に分配します。
法定相続人が受け取れる遺留分の割合
遺言書によって法定相続人以外に財産の全額が引き継がれそうな場合、法定相続人は「遺留分侵害額請求」を行うことで、遺留分の遺産を受け取れます。
遺留分が適用される法定相続人や割合は、以下の通り定められています。
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例えば、遺産の全額を法定相続人以外に相続させる旨の遺言書があったとしても、配偶者や子どもは全体の1/2を上限として、直系尊属(父母や祖父母など)は全体の1/3を上限として受け取る権利があります。
遺留分を受け取るには、相続を知った日から1年以内か相続開始から10年以内に「遺留分侵害額請求」を家庭裁判所に提出します。
【注意】債務は法定相続分の割合で分割される場合がある
遺産相続の割合は遺言書や遺産分割協議で決めた場合、法定相続分の割合通りにする必要はありません。
ただし、マイナスの遺産である債務については、法定相続人に法定相続分の割合で返却の義務が生じる可能性があります。
例えば借金やローンなど分割可能な債務は、法定相続人に法定相続分の割合に沿って均等に分配されます。
もし遺言や話し合いで法定相続分の割合より少なく遺産を相続した場合でも、配偶者+子どもの組み合わせでは配偶者が1/2、子どもは1/2を人数で分配して債務返却の義務を負うため注意が必要です。
遺産相続の割合について正しく理解しましょう
遺産相続の割合は、遺言書や遺産分割協議の内容によって変わりますが、法定相続分の割合が指標になります。
遺産相続の割合はトラブルの原因ともなりうる問題のため、法定相続分や遺留分について正しく理解した上で遺産分割協議などを進めてみてください。
複雑な遺産相続の割合や分割については、司法書士などの専門家にサポートを依頼すると、手続きや話し合いが円滑に進められておすすめです。
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