家族信託は必要ない?必要でないケースと利用すべきケースを解説
2025/04/11
家族信託はご自身や親御さんが万が一認知症などになった時に、生活に必要な預金などを問題なく引き出せるようにする制度です。
ただし、家族信託を利用するには公正証書にするための費用や手数料などで20万円~50万円ほどの費用がかかるため、本当に必要なのか迷う方もいらっしゃるでしょう。
結論として、以下に当てはまる場合は家族信託が必要ない可能性があります。
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本記事では家族信託が必要ないパターンとその理由、さらに家族信託制度を利用した方が良いパターンについても詳しく解説します。
実際、家族信託は必要ない?
結論、家族信託はすべての人にとって必要なわけではありません。
ただし、認知症や寝たきりなどで要介護状態になった場合、ご本人の銀行口座や不動産などの財産が凍結され、家族であっても自由に動かせなくなる可能性があります。
家族であれば本人が寝たきりや認知症になっても代わりに銀行口座からお金を下ろしたり、親名義の不動産を動かしたりできると考えている方も多いですが、実際には血縁関係や婚姻関係があっても勝手に行うことはできません。
家族信託を利用すれば、あらかじめ指定しておいた人(受託者)が本人(委託者)の代わりに財産を管理したり処分したりできます。
家族信託を行うには、信託財産によって公正証書の手数料や不動産の信託登記の費用がかかりますが、万が一のリスクを避けるためにも必要に応じて制度を利用するのがおすすめです。
家族信託が必要ないパターン
まずは家族信託の準備をする必要がないパターンを見ていきましょう。
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上記に当てはまる場合、家族信託を考えなくてもいいのはなぜか解説していきます。
不動産や財産が少ない
財産に不動産がなく、預貯金も少ない場合は、家族信託をしなくても良い可能性があります。
認知症などで凍結の恐れがある財産は、主に不動産や銀行口座の預貯金、金融商品や株式、生命保険です。
財産のほとんどが現金で、手元にある場合は凍結される心配がないため、家族信託をしなくても良いでしょう。
ただし、不動産や株式など凍結される可能性がある財産は認知症や寝たきりになった時に売却して、治療費や施設代に充てるなどの対策も考えられるため、家族信託をしておくのがおすすめです。
また、不動産などがなく預貯金のみであれば、信託銀行などで取り扱っている代理で出金が可能なサービスを契約しておくと家族信託より費用は安く抑えられる場合があります。
親から子へ財産の名義変更が進んでいる
不動産や事業などがあり、名義を変更することで家族へ財産を引き継げる場合は家族信託が必要ない可能性があります。
ただし、財産の名義変更が有効なのはご本人がまだ認知症などになっておらず、認知機能が低下していない場合のみです。
もし、名義変更の手続きなどが完了しないうちに認知症などが認められると引き継げない可能性もあるため注意しましょう。
委任できる家族や親せきがいない
家族信託は信頼できると思える家族や親せき、または第三者を受託者として指定できます。
しかし、家族との関係性によっては、家族信託を頼んでも自分の意志を尊重してもらえないと感じる場合もあるでしょう。
家族信託を結んでしまうと受託者となった人は、財産を自由に処分したり管理したりできるため、本人の死亡時に相続できる財産が減ってしまう可能性もあります。
その結果、家族や親せき間で相続時にトラブルが起きたり、不公平だと感じたりする可能性もあります。
家族信託を頼める家族がいない方やトラブルの原因になりそうな場合は、利用を避けたほうがいいでしょう。
自分が認知症や寝たきりになった時に支払い面で不安を感じているなら、家族信託以外に使える制度はないか専門家に相談してみるのもおすすめです。
家族信託の必要性がしばらくない
家族信託を結ぶ際は、信託契約書を公正証書にしたり、信託用の口座を開設したりする必要があります。
公正証書化や口座開設の手数料は、信託する財産の額によって算出されるため、今現在は健康で認知機能にも変化が見られない場合は、もう少し様子を見るというのもおすすめです。
今後、生活していく中で預貯金などが減っていくのであれば、身体的に家族信託の必要性を感じたときに契約をした方が良いでしょう。
ただし、急な病気や事故の影響で認知能力の低下が起こる可能性はあるため、早めに対策しておくことも重要です。
家族信託が必要なパターン
家族信託の利用がおすすめなパターンは、以下に当てはまる場合です。
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上記に思い当たる点があるなら、積極的に家族信託を検討しておくと安心です。
それぞれのポイントや家族信託を行うメリットを解説します。
介護施設や病院の費用を親名義の財産から支払いたい
もし、認知症を発症して介護施設へ入所することになったり、入院が必要な状況になったりすると、費用面でも大きな負担が発生します。
親御さんの介護や治療のためにまとまったお金が必要になった場合、お子さんに金銭的な負担を背負わせず、預貯金などから捻出したい場合は家族信託を結んでおくのがおすすめです。
家族信託を利用すれば、認知症や病気になった後でも銀行口座から預貯金を引き出したり、不動産などを売却したりして費用を補填することも可能です。
銀行口座の凍結を避けたい
認知症を発症するなどして万が一判断能力を失った場合、銀行口座が凍結されるリスクがあります。
銀行口座が凍結されると生活費や医療費など、生きていくために必要なお金であっても引き出せなくなります。
口座にはお金があるのに引き出せない場合は、他の家族や親せきに費用を負担してもらうなどの迷惑をかける可能性があるため、家族信託を結んでおくのがおすすめです。
不動産などの手続きを生前に行いたい
不動産財産がいくつもある場合、遺産相続後に管理や売却を行うには手続きが複雑になる可能性があります。
家族信託を結べば生前に不動産の名義変更や売却などが行えるため、亡くなった後に家族が手続きに追われることも避けられるでしょう。
また、不動産は認知機能の低下により凍結の対象になるため、売却やリフォームなどができなくなり、アパートなどの管理物件で新たな入居者との契約を結ぶことができなくなってしまいます。
家族信託の仕組みを利用すれば親名義の貸物件の家賃収入なども生活費や医療費に充填できるため、メリットは大きいでしょう。
事業継承などの必要がある
会社を経営している方なら、家族信託を結ぶことで後継者を指定しておけます。
家族信託で受託者となる人は家族でなくても良いので、事業資産や株の運用を任せる旨契約を結んでおくと、希望した人に会社の経営を任せられるでしょう。
家族経営で子や孫などに事業を引き継ぎたい場合も、家族信託で受託者としておけば事業継承の手続きが生前からスムーズに行えます。
子や孫へ希望する相続方法がある
家族信託では財産を管理する人を複数人指定できます。
例えば、子を受託者として指定しつつ、もし子が亡くなった場合は孫へという形で、次に管理する人も指定しておけます。
遺言書の場合は指名した相続人がもし亡くなった後のことは決められず、何の取り決めもない場合は基本的に法定相続の順位に沿って財産は引き継がれますが、希望があるなら家族信託を利用するのも有効な方法です。
認知機能の低下が見られる
すでに認知機能の低下が見られる場合には、早急に家族信託の契約を結ぶのがおすすめです。
認知症などにより銀行口座が凍結される条件としては、銀行側が認知症であることを知ったり、ご本人が窓口で正常な受け答えができないなど認知症だと認められる行動を取ったりする場合が挙げられます。
家族信託などの対策を取る前に銀行口座が凍結されると、成年後見制度の利用を家庭裁判所に申し立てるしかお金を引き出す方法がなくなり数か月以上の期間がかかるため、早めに行動することをおすすめします。
認知症などになった後の家族の生活に不安がある
認知症や寝たきり状態になった時に、残された家族の生活が不安な場合は家族信託をおすすめします。
例えば、障害を持つ人が家族にいて、生活費などはご自分が出していた場合などです。
銀行口座や財産が凍結されることで家族が生活できなくなる可能性があるなら、あらかじめ財産を管理できる能力がある人と家族信託を結んでおくと安心です。
家族信託が必要ないか迷ったときのチェックポイント
家族信託が自分や親御さんにとって必要なのか迷ったときは、以下のポイントを確認してみましょう。
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上記のポイントをチェックすることで、本当に家族信託が必要なのか判断がしやすくなるでしょう。
家族信託を利用すべき財産を把握する
「家族信託が必要ないパターン」でも解説しましたが、管理すべき財産に不動産がなく、現金のみの場合は何もしなくても問題ありません。
管理しなければいけない財産があるかどうかで家族信託を利用すべきか判断すれば、答えが出やすいでしょう。
家族信託を委任する人を検討する
家族信託契約を結ぶためには、信頼できる相手(受託者)が必要です。
家族信託で財産の管理を委任できる人がいるかどうかによっても、利用を検討すべきか決められます。
もし、管理が必要な財産があるにもかかわらず委任できる人がいない場合は他の制度が利用できる可能性もあるため、専門家に相談してみましょう。
家族信託にかかる費用を算出する
家族信託契約を結ぶためには、すべてを自分で行う場合で約20万円、専門家に手続きを依頼する場合で約50万円以上かかります。
家族信託のために発生する費用は信託財産の額で変わるため、大まかに金額を計算してみて費用に応じたメリットがあるか考えてみるのもいいでしょう。
家族信託が必要ないか悩む場合は専門家に相談するのがおすすめ
家族信託がご自分や家族にとって必要ないかは、費用面や効果を考えると重要な問題です。
家族信託が必要かどうかの判断は財産の内容や額、家族との関係などさまざまな要素が影響するため、迷ったときは専門家に相談してみましょう。
キャストグローバルでは家族信託に関する相談も無料で受け付けているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

岡野 慎平
司法書士法人キャストグローバル 広島事務所 代表
株式会社キャストグローバル 代表取締役
司法書士法人キャストグローバル 中四国九州エリア統括
司法書士法人キャストグローバル広島事務所の代表を務め、株式会社キャストグローバル 代表取締役・司法書士法人キャストグローバル 中四国九州エリア統括として、グループ内の知見とネットワークを活かした支援体制の整備とサービス品質の向上に取り組む。司法書士としては相続を中心とした法的手続きを扱い、これまでに相続に関する相談・手続き支援を累計1,000件対応してきた。

北村 寿恵
相続コンサルタント
相続コンサルタントとして司法書士法人キャストグローバルと連携し、相続に関するコンサルティング業務を担当。終活セミナーをはじめとした企画・講師経験を活かし、専門的な内容をわかりやすく整理しながら、相談者の不安を「安心」に変える支援を信条としている。また、三原市福祉協議会の講演の講師も担当。これまでに相続・終活に関する個別相談を累計2,000件対応しており、司法書士と連携しながら、手続き完了まで誠実にサポートを行っている。
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